1杯のアオリイカの墨全てで1枚の作品を作るために描き始めました。絵を描き切っても墨が余ったので額を塗って、それでもまだ墨が残ったので額のアクリル面にも使いました。アオリイカの墨の果てしない力強さを感じて恐ろしくなりました。お前はイカでイカを描く覚悟を持っているのかとアオリイカに試されているようでした。このアオリイカが入っていた定置網、漁獲された姿、網の中で一緒に入っていたアオリイカが食した跡のある魚たちを構成して描きました。イカに襲われた魚の傷から、イカの生命力と獰猛さが伝わりました。イカに食べ残されたアジやサバやコノシロを私が頂いて、このイカ墨をもたらしてくれたアオリイカと一緒に食して、自分の胃の中で消化しながら描画しました。